小箪笥の修理です。
依頼品には酷い亀裂が見られます。
左の写真は上面の板と側面の板を接着していた箇所です。それがほとんど取れかかっています。
下地の状態も悪いので残った下地も今後剥離していくと思います。
まずは下地を全て取り除き、木地を接着します。
そして引き出しの隅や、ひどく凹んだ箇所に刻苧漆を付けます。
破損箇所は接着剤に木粉を混ぜたもので接着しました。
外側全体に刻苧を付けます。
木地の細かい凹みも埋め、接着した箇所の補強にもなります。
布着せを行います。全体にのり漆で布を貼り、丈夫な漆器にする為です。
木地の接着箇所もこれで安心です。
全体に下地漆を付けます。
一面一面ヘラで下地漆を付けるのでとても時間がかかります。
下地付けの終わった子箪笥を地研ぎした後、中塗りを行います。
子箪笥を朱漆で上塗りします。
朱の色が綺麗に出ていると思います。
引き出しに蒔絵を付け、最後に取っ手を付け直すと小箪笥の修理は完了です。
蒔絵は以前のものとは違うもの付けてほしいとのご依頼でした。
今回は蒔絵師さんに上段から水仙、桜、梅の蒔絵を付けてもらいました。
ご依頼者も仕上がりに満足していただいた様子で、こちらもとても嬉しかったです。