茶道に使う道具を入れる茶箱の修理です。
茶箱には掛合(かけごう)という丸い穴が開いたの中蓋があります。
この穴は抹茶を点てる茶筅(ちゃせん)を納める為のものです。
依頼品は所々欠けている箇所が見られます。
さらに色ムラもあるので今回は全体に塗り直します。
破損箇所を接着剤と木粉を混ぜたもので埋めた後、錆漆で表面を整えました。
依頼品は下地がしっかりしているので、全ての下地を落とす必要がなく良かったです。
茶箱に中塗りを行いました。
長く使っていたからだと思いますが、漆の乾きが悪い箇所がありました。
このまま上塗りを行うのも不安なので、もう一度中塗りを行います。
中塗りを水研ぎした後、朱漆で茶箱を上塗りをしました。
上塗り後お客様のご希望で、蝋色師さんに蝋色(ろいろ)仕上げにしてもらいました。
蝋色とは漆の塗膜を磨き表面を鏡面仕上げにすることです。
艶が上がった漆器もとても綺麗です。
茶箱を上塗りした後、蓋の側面に切れを発見しました。
一見分かり難いですが、蛍光灯の光に線が入っている所です。
茶箱の下地に小さな傷があったのを見逃してしまったようです。
このままにしておくとここから剥離していくでしょう。
かなりショックですが、お客様に納める前に気付けたことが不幸中の幸いです。
茶箱の傷を彫り、錆漆を付け、漆を塗り直しました。
今度は蛍光灯の光に傷は見えません。
依頼者に茶箱を納めた所とても満足していただきました。
喜んでいただきとても良かったです。
今回の仕事で改めて最後の確認は大事だと感じました。