今回の銚子の傷は、内側の木地の継ぎ目からお酒が染み込みできたものです。そのため外側だけでなく、内側も修理します。
ちなみに銚子を使用した後、長く酒を入れたままにして置くと今回の様な傷が出てくることがあります。銚子は使い終わったらすぐに洗い、自然乾燥した方が良いです。
まず銚子内側を水研ぎします。
横にある一筋の線が木地の継ぎ目です。一見お酒が漏れている所は見えませんが、確実に漏れている箇所はあるので修理を行います。
錆漆を研ぎ、中塗りを入れます。
中塗りを研ぎ、内側全体を上塗りします。
今後外側に同じ様な傷が付くことはないでしょう。
今回の傷は木地からのものなので、まず傷を小刀で彫ります。この工程を省くとまた同じ様な傷が出てくる可能性があるので、省くことのできない大事な工程です。
彫った箇所に刻苧を埋めます。
刻苧が乾いたら錆漆を付けます。この時、銚子全体も研いでおきます。
錆漆が乾いた後、水研ぎして中塗りします。
ちなみ中塗りをせずに上塗りをすると錆漆が上塗りの漆を吸い取り、修理箇所がはっきり分かります。
中塗りを研いだ後、上塗りをします。傷は全く見えません。
上塗りが乾くと当工房での仕事は終わりです。
この後、蒔絵師さんに以前と同じ蒔絵を付けてもらい、修理完了です。