焚き終わった香を入れる香道具で焚空入(たきがらいれ)というものです。
依頼品の焚空入は写真の様に下の方の下地がひどく剥離していました。
しかし実は下地が剥離していいるだけでなく、底が取れてしまっている状態でした。
これは木地から直さなくてはなりません。
まずマスキングテープで残った蒔絵を保護したら、剥離している下地を取ってしまいます。
そして底を接着剤に木粉を混ぜたもので接着します。
焚空入の破損箇所に刻苧を付けます。
これで木地の凹凸を埋めます。
空焚入の破損箇所に錆漆を付けます。
下地の作業はこれで終了です。
錆漆を水研ぎした後、中塗りを入れます。
これで当工房での作業は終了です。
最後に蒔絵師さんに蒔絵を付けもらいました。
残っていた蒔絵の部分と修理した部分が分からない様に蒔絵を付けるのは大変でしょうが、綺麗に仕上げて頂きました。
ありがとうございます。
香道具の重香合の修理です。
重香合は一段目にお香、
二段目に銀葉(雲母の薄片を金属で縁取りしたもの、香を焚く時香を乗せる)
三段目に焚きがらを入れるそうです。その為三段目の内側は金属で出来ていました。
依頼品は三段目に大きな亀裂があります。
熱いものを入れたので木地が動き、亀裂ができたと思います。
その為、縁の径が広がり二段目が入らなくなっています。
まずは破損箇所の周りをできるだけ広げないように小刀で彫ります。
そして破損箇所に接着剤と木粉を混ぜたもので埋めます。
できるだけ傷を広げないようにする為、とても気を使います。
重香合の欠けた縁の所に錆漆を付けました。
側面の傷もこの後、錆漆を付けていきます。
中の下地も剥離していたので全て取り除きました。
錆漆を付けた箇所に中塗りを行います。
なお二段目の香合が重ねられなかったので立ち上がりの外側を多めに研ぎ、中塗りを入れました。
その甲斐もあり二段目をちゃんと重ねることができるようになりました。
最後に蒔絵師さんに蒔絵を付けてもらいます。
重香合の破損箇所も一見した限りでは分からなくなり、本当に良かったです。
香木を入れる香箱の修理です。
依頼品は所々に欠けた箇所などがありました。
そして香箱の裏は特に細かい傷が多く見受けられます。
ただ深い傷はあまりなかったので、刻苧ではなく錆漆で傷を埋めました。
香箱の裏に中塗りを行いました。
中塗りなのでまだ少し刷毛の跡が残っています。
香箱の裏を水研ぎし、上塗りを行いました。
刷毛の跡もなく綺麗に仕上がって良かったです。