漆器に使う材料や技法を簡単に説明してあります。五十音順になってますのでご参考にして下さい。
乾漆粉
ガラス板に漆を塗り乾かす。乾いた漆をガラス板から剥離し粉状にしたもの。色漆を使えば色々な色の粉を作ることができる。
写真は緑の色漆から作ったもの。
生漆
漆の木から採り、漉しただけのほぼ原液の漆。主に下地に使います。色は乳白色しているが、空気に触れている所は黒く変色していく。
刻苧(こくそ)
米のりや小麦粉に生漆を混ぜた物にこくそ綿(麻布の繊維)や木粉を加えたもの。物を接着する時やパテの様に使用する。
錆漆
砥の粉に水を加えたものに生漆を混ぜたもの。地の粉より粒子の細かい砥の粉しか入ってないので、中塗りを入れる前の下地の仕上げに使う。
地の粉
下地の時に生漆に混ぜる粉。輪島で採れる珪藻土を焼いたもの。輪島塗に堅牢性があるのも地の粉によるものが大きい。
朱合漆(しゅあいうるし)
生漆に熱を加え、水分を抜いた漆。色は醤油に似て少し透けている。朱色の漆などはこの漆に顔料を加えて作る。
砥の粉
粘土を焼いて粉にしたもの。下地の時に生漆と混ぜて使用する。粒子が細かく、物を磨く時にも使います。
石目塗り
漆器の表面に乾漆粉、炭粉を蒔き漆で固める技法。硬くザラザラとした仕上がりになり、傷が付きにくい。
乾漆
石膏などで型を作り、そこに麻布を貼り素地を成形する技法。そのため素地が木の漆器よりもある程度自由な形を作ることができる。
金継ぎ
陶磁器の割れや欠けを刻苧漆で接着し、金粉などで加飾して仕上げる修復技法。
摺り漆・拭き漆
木地に生漆を何回も刷り込む技法。漆によって表面の艶があがり、木目を美しく見せることができる。
溜塗り
中塗りの段階で朱色の漆を塗り、後に朱合漆(しゅあいうるし)を塗る。すると前に塗った朱漆が透けて見え独特の風合いになる技法。
布見せ
漆器の表面に麻布を漆で貼り、さらに漆を塗り重ねて丈夫に仕上げる。麻布の表情と手触りを感じられる技法。
蝋色仕上げ(ろいろしあげ)
上塗りの後、表面を磨き上げ鏡面の様な艶を出す技法。
漆器の塗面は上塗りで仕上げた物と蝋色仕上げの物に分けられる。蝋色仕上げは工程が多い。比べて上塗りだけのものは上塗りの最中にホコリやチリなどにとても気を使う。
(写真の右が蝋色仕上げ、左が上塗りで仕上げたもの)