短刀の鞘の修理です。
依頼品には所々に亀裂や欠けた箇所が見られます。
当工房ではこれらを埋め上塗りまで行います。
ちなみに色が変わっている箇所は下地が見えている所です。
依頼者が研いでみたそうです。
短刀の鞘の破損箇所に刻苧を付けました。
傷や下地が欠けた凹凸をこれで埋めます。
刻苧を磨いた後、錆漆を付けました。
これで表面は綺麗になります。
短刀の鞘の錆漆を水研ぎした後、中塗りをしました。
写真では分かり難いですがまだ凹凸があるので、もう一度中塗りを行います。
短刀の鞘を上塗りしました。
これで当工房での仕事は終了です。
蒔絵や螺鈿などの加飾を蒔絵師さんに付けてもらいました。
図案は依頼者様ご希望の図案です。
依頼品を納めるとお客様は大変満足していただけました。本当に良かったです。
この様に依頼者様ご希望の図案の加飾を付けることも可能です。お気軽にご相談ください。
脇差の鞘の修理を依頼されました。所々塗りも取れ、木地が見えている状態です。
この鞘には小柄(こづか)という小刀の入れる箇所や返角(かえりつの)という突起もついているのですが、これらを無くし輪島のやり方で黒く塗って欲しいとのことでした。
そのため本来の鞘の造りとは違う
のかもしれませんが、綺麗な塗りの鞘になるよう仕事を進めて行きます。
まずは残っている塗りを取ります。
依頼品は木地に和紙を貼り、その上から下地をしている様でした。
そのため和紙を剥がすと比較的簡単に木地だけの状態になりました。
刻苧が乾き、鞘が接着されたら次の作業に移ります。
依頼者が希望されましたので、まず小柄(こづか)という小刀の入れる箇所を他の木材で埋めます。
次に鯉口(鞘の口の部分)とこじり(鞘の先端の部分)にのり漆で麻布を貼ります。
後でもう一度、布を鞘全体に貼るつもりですが、ここは特に補強しておきたいので布着せを行いました。
布着せが乾いたら今度は全体に刻苧を付けます。木地の凹凸や布の段差を埋める為です。
刻苧が乾いたら、サンドペーパーなどで磨きます。
そして今度は一回目より目が細かい布で、全体に布を貼ります。
布着せした鞘に地の粉を加えた下地を付けました。これを2~3回行います。
地の粉を入れた下地を付け終わりました。次は鞘全体に錆漆を付けます。これで下地の仕事は終ります。
錆漆は粒子の細かい砥の粉が入っています。この錆漆が乾いた後砥石で研ぐと、表面が綺麗に整います。
錆漆が乾いた後、砥石などで水研ぎします。
そして中塗りを行いました。
中塗りを入れると鞘らしくなってきます。
最後中塗りを研いだ後、上塗りをして修理完了です。