杯洗(はいせん)の修理依頼がありました。杯洗とは文字通り酒席で杯を洗いすすぐ器です。
依頼品は一見しただけでは傷んでいる箇所は分かりません。綺麗にお使いのようでした。
ただ内側には小さな切れと盃の跡が残っています。
この切れはこのまま塗り直しても、また同じものが出てきてしまいます。
そのためまず小刀で切れを掘っていきます。
小刀で彫った箇所を刻苧で埋めました。
刻苧を磨いた後、錆漆を付けました。
これで傷はほぼ埋まりました。
中塗りを行いました。
まだ少し錆漆を付けた箇所が凹んでいるようです。
その為上塗りの前にもう一度中塗りを行うつもりです。
依頼品は沈金で加飾されていましたが、依頼者のご希望で蒔絵をつけました。
依頼者も満足して頂けたようで良かったです。